初めてナイフを作る。
前回の続き
鉄をさわった後に、真鍮もさわってみた。
6mm棒の真鍮を薪ストーブで熱しながら叩くと平たくなる。真鍮は鉄とはまた違った特性を見せるのだけれど、それについてはまた今度。
平たくした真鍮で腕輪を作ってみた。
なんか鍛冶ってコークスとか炉とか必要なイメージがあったんだけれど、
薪ストーブでなんとかなるんじゃないのか、と思い始めたところで、
ナイフを作ってみよう、ってことになった。
今年の冬は薪ストーブで塩をけっこう作りました。
塩についてはこちら
そのときに、ついでに古い錆びたかすがいをストーブの中に放り込んで
赤くなったら叩く、ということから始めた。
叩いていると冷えて赤くなくなるので、そしたらまたストーブに放り込んで赤める。
これを叩いていくと、
こうなっていく。
わかったこと。
適当に叩いていると狙っていない形にどんどん曲がっていき、
途中からはどうにもこうにも修正できなくなっていく。
曲がっていきそうになったら、裏から叩いたりしてじわじわと狙った形にしていく必要がある。
まあ、仕方がないので進めていく。
適当な薄さまで延びたら、サンダーで形を整えて、刃をつけていく。
最後に焼きいれをする。
焼きいれというのは鉄を固くする作業。赤くなるまでストーブの中で入れてから、水にいれてじゅわってさせる。
本当はこの焼入れの温度によって鉄の品質は左右されるのだけれど、よくわからないし、適当にいく。それでも多少は固くなる。
砥石で刃を研ぎだして完成。
かすがいはやっぱり軟鉄なので、そこまでいろんなことに使えるナイフにならない。
ただ固くないってことは研ぎやすいし、100均の包丁レベルの切れ味はある。
野菜、果物くらいはすっと切れる。肉の解体とかは難しい。
でも、とりあえず形が全然気に食わなかったので、すぐに2本目を作った。
こんな感じの最初から作りたかった。ちょっと昔の猟師とか山に入る人とかが持ってそうな刃物の感じ。さっと川魚とか捌けそうな。イメージだけど。
次は鋼でもう少し固い、木を彫ることができるような刃物を作ってみたい。
材料は、車の板バネがいいらしいし、こないだもらったし。
初めてナイフを作る。まず金属をさわってみた。
刃物は人間が持った道具の中では、根源的というか、一番初めに位置されるものだと思う。
火と刃物。たぶん人間が文化・文明を作り始めていくのに欠かせなかったのがこの二つだ。
ぼくは木彫りと料理が本職なのだけれど(それだけで食っていけてるわけではないけど、心持ち的に)、刃物は手の代わりで、最も必要で、最もリスペクトすべき道具だ。
その、個人的にも普遍的にも一番上にある道具を作ってみたいとずっと思っていた。
もちろん金属加工です。
金属はおもしろい。固すぎるイメージがあるけれど、実は柔らかいものがあったり、折れやすい時があったり、切ったり曲げたりできる。
簡単なのからやってみた。
壁掛けフック。
鉄をペンチで曲げて、アンビル(金属を叩くときの下の土台。鉄のかたまりだったらなんでもいい)の上でたたいたり、穴をあけたりしただけ。木と刺繍布でデザインしてみた。
右二つは3mmの太さの番線。これ
www.monotaro.comホームセンターで普通に売ってるやつ。
これはなましてあるやつですごい柔らかい。一番左は、ワイヤーメッシュ。これ
(柴垣グリーンテックさんから画像借りました)
これは、6mmの太さで固い。ので、曲げるにしてもペンチじゃ無理で、叩きながらじわじわ曲げていく。平たくするときも固すぎたので、バーナーで熱してから叩いた。
手始めにこれを作ってみて、気づいたこと。
なましてる鉄と固い鉄がある。焼なましと焼きいれというのがあるらしい。
なますと柔らかく、焼きいれると固くなる。
固くても、熱をかけると柔らかくなる。熱して赤いときの方が柔らかくて叩くと形が変わりやすい。
あと鉄の種類がある。鉄と鋼は含まれる炭素量が違うってことが元は同じ。
炭素量が少ないと軟鉄とか軟鋼とか呼ばれて柔らかい。多いと鋼ってことらしい。
なるほど。
「はじめてナイフを作る」につづく。
セルフビルドでお店を作る~骨組み編4
いい調子で進んできた店作り。
こんな感じで箱の形に組んで、垂木というものを次にのせていきます。
屋根を支える斜めのやつです。
と思ったそのとき
ここ。梁を2本つないでるんですが、横向きに据えてしまってる。
縦に据えた方が強度があるんだけど、横向きに。
うぇー。
これは、強度的に心配だ、と悩んだ結果、急遽梁を支える梁と柱を増やすことになった。
うぇー。
設計図なんてないも同然で進めてるとは言え、なんとなくこんな空間を作ろうと思っていたのに、柱なんて内部にないイメージだったのに。
でも、まあ仕方がないので柱2本と梁を増やすことに。
なんか足止めをくらった気分、遠回りさせられる気分。
終わったと思ってた土木作業がまたやってきた。
独立基礎をつくる。やることは前と同じ。穴を掘って、土をついて、砂利を敷いてついて、コンクリートを練って流し込む。
mitikusamemo.hatenablog.com今回は、型枠をやってみる。
板で箱を作って、穴の上に置いて、コンクリートを流し込む。
周りから漏れてこないように、周りにも板を敷いて。アンカーボルトを仕込んでおく。
それからジャッキで梁を一本一本突き上げながら、補強をしていく。
一本一本。
めんどくさい。
めんどくさい、と言ったら「そもそも店をやるためにこんな建物作りをスタートさせるってのが、そもそもめんどくさい」と言われた。
「めんどくさい」って言葉が禁止になった。
つづく。
セルフビルドでお店を作る~骨組み編3
毎日毎日ひたすら木を計って、印をつけて、ほぞを切って、穴をあけて・・
まあ、けっこう飽きたと言えば、飽きてます。
飽きってけっこう怖い。こんなことを言う人もいてるくらい。
あー飽きてるとデキない人なのかあ、とか思いながら、木を計って、印をつけて・・
たしかに昔は、機転がきくタイプよりも同じことを長く続けられるタイプが職人として重宝されたと聞く。今は、そういう熟練が必要な技術は機械とコンピューターに取ってかわられたって。
飽きるくらい同じことをしていると、たしかにいろんなことがちょっと上手になった。
丸ノコで材を縦に切るとき、時々寸分の狂いなくいくときがでてきた。
最初の頃に作った梁と最後に作った梁は、見た目にもけっこう違う。
こういうことの積み重ねの先に職人って世界があるのか、と少し足を踏み入れた気分になる。
ただ延々同じことのくり返しの毎日。
延々と同じことをしてると、窓枠の部分とかちょっと頭つかうと間違ったりする。
ボルトで留めてく。
飽きたとか贅沢言ってると、けっこうな問題がでてきた。
たぶん神様が怒った。
そのお話は次回で。
つづく
セルフビルドでお店を作る~骨組み編2
次元上昇ってのがある。いや、ないかもしれないけど。
これ参考サイト。
なんかすごいとこに行けるらしい。
セルフビルドに関してこの最初の梁を上げる作業はまさにそれ。
アセンションと言っても過言じゃない。
今まで基礎作ったり、土台の木を加工したり、据えたり、なんか地面を這いつくばってやってきた。もちろん、この世界で人間が動いてるんだから、3次元なんだけど、
なんか平面っていうか、2次元っていうか、地べたって感じ。
それが、梁を上げると、立体になる!3次元に!
8mは重すぎたので友達を急遽呼んだ。死ぬほど暑い8月11日の午後2時。
で、アセンションすると気づいたこと。
高いところの作業に変わって、めちゃくちゃ作業速度が遅くなる。
いちいち脚立を動かして、不安定な高いところで、全然進まなくなる。
次元上昇するのも考えものだなあと思いながらの作業。
あとは、どんどん間の柱を入れていく。
ぐらんぐらんだった柱たちが、しっかりしていく。赤ちゃんの首がすわって、腰がすわって、って感じ。
なんか立体になるとうれしい。
やっぱり人間、次元上昇を心の奥では求めてるみたい。
母屋の窓から見てても、なんかうれしい。
つづく。
セルフビルドでお店を作る~骨組み編1
はじまりの基礎編はこちら
セルフビルドのイメージって、なんか電動工具とか使って大工仕事ってイメージだったのだけれど、ここまではひたすら土木と左官。
うぇーってくらい。
でも、ここからはようやっと大工仕事です。
木材が届いた。木材ってけっこう高い。
全部105mm角で4mものが¥2900、3mものが¥2200くらい。
今回はボルトを使った軸組み工法って呼ばれるようなやり方やることになった。
2×4みたいに呼ばれる工法は、よく小屋作りの雑誌とかにも載ってるけれど、
なんか釘で作らないとだめと言われる。
釘打ち機をもってないうちは使えない。
従来工法は、なんか難しい穴を作って、穴に挿したりして組み上げるので、なんか難しそうなのでやめてみた。で、ボルトを多用するこの工法でいきます。
まず、基礎から出したボルトに合う位置に穴を開けて、土台の木を据えてみる。
穴はボルトの太さよりけっこう太めの15mmのドリルであける。
木は伸びたり縮んだりするから
余裕とゆとりをもって穴をあけたり、
切り込みをいれたりするんやって。
わたしもそうありたいな。。
余裕とゆとりをもって日々に挑みたい。
一瞬にして一日が終わるこの不思議よ。
って言う人が現れる始末。
いろんなところに人生のヒントって転がっている。
それから、柱が立つところに印をつけていき、またはずす。
印のところを全部切り欠いて、また据える。
この切り欠く作業もなんか延々とやってた気がする。
丸ノコと手ノミを使って欠く。
友達から大きいノミを借りてきた。お尻の打つ部分がなくなってたから、
ボルトをぴったりに嵌めてリペアする。ちょっとかっこいい。
つづく。